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KOJOのクリーン電源 ARAY MKII SEとKATANA 25の試聴レポート【違いは低域の腰】

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OTAI AUDIOのクツナです。
今日は、「電源」のお話です。

何かと後回し、あるいは必要性を感じられないことの多い電源部分ですが…
ネットワーク機器など機材が増えがちな昨今では、繋げる機器が多ければ多いほど、電源対策の効果は大きくなります。

そこで今回は、KOJOのクリーン電源「ARAY MKII SE」と、「KATANA 25」の比較試聴レポートをお届けします。
壁コンセントを基準にして、給電条件だけを切り替えて聴き比べます。

結論から言うと、どちらも「S/Nが上がって静かになる」だけの話ではありませんでした。
静けさは確かに増すのですが。でもそれ以上に、音楽の“立ち上がり方”と“空間の手触り”が変わる感覚があり、
そして、KATANA 25のほうは、ちょっと驚きました。ぜひお楽しみください。

KOJO ARAY MKII SEの紹介

ARAY MKII SEは、波形を整えたり、電圧や周波数を安定させたり、ノイズ対策を行うことを目的にした安定化クリーン電源です。

……いかにもカタログ的な表現ですが、電源機器の紹介って、どうしてもそうなりがちで。
今回は「理屈はさておき、音楽を聴いてどうだったか」のほうを先に置きたいので、仕様の話はざっくりといきましょう。

仕様としては出力容量が1,200VAで、出力コンセントは6口。
指定電圧・指定周波数で出荷されます。
いわゆる「使う人がその場で細かくいじって追い込む」というより、商品が届く前に最適な条件を決めた上で“土台を安定させる”方向の設計だと受け取りました。

SEの名前がついている理由も、素子の選別やパーツの締付トルク管理など、個体の精度や組立品質に踏み込んだ作り込みからきているそうです。

KOJO KATANA 25の紹介

KATANA 25は、あえて雑に言うなら「メイン電源をこれ一台で作ろう」という商品です。

総出力は2,500VA(2,000W)。
出力が3系統に分かれていて、リジェネレータ方式(PWMインバータ)が500VA、アイソレーショントランスが1,000VA×2。合計12口という口数も、いかにも“コレに全部挿してください”と言わんばかりの感じがします。

さらに特徴的なのが、トランス系の2系統を並列にして2,000VAの単出力(ハイパワーモード)にできること。
大きなパワーアンプも遠慮なく駆動させることができます。

他にも、シーケンスON/OFFのような安全機能もありますし、DCサプレス(Hum Eraser)というトランス唸り対策も万全です。

一方で、KATANA 25は簡単な機械ではありません。
重量約50kgでお値段もかなり高額。ということで、なかなかハードルの高い商品です。

ARAY MKII SEとKATANA 25の比較

両者に共通しているのは、「電源をきれいにすることで、結果として音楽に集中しやすくなる」です。
静けさが増すことで、

  • 弱い音や余韻が追いやすくなる。
  • 音が“見える”感じが出てくる。

ここはどちらも強く感じました。ただ、やり方と得意分野が違います。

ARAY MKII SEは、安定度の高さと、ノイズ対策のメリットが全面に出てきます。
聴感としては、背景がスッと引いて、音の輪郭や細部が浮き上がる方向。
低域も締まりが良くなって「ベースラインが追える」感じになります。

KATANA 25は、そこに加えて「メイン電源としての余裕」と「系統分離」が強みになります。
リジェネレータとトランスを同居させたハイブリッド構成なので、透明感だけでも、厚みだけでもなく、両方を狙えます。
聴いた印象をひとことでまとめるなら、ARAYは“静かで輪郭が整理される”、KATANAは“空間と重心が整理される”。

もちろん、曲によって感じる印象は変わると思いますが、それでも今回の試聴では、この言い方がいちばん近かった、くらいの温度感で受け取ってください。

試聴レポート

試聴システム紹介

今回は、同一システムで給電条件だけを切り替えています。
再生機器は、ネットワークプレーヤーLUMIN D3をソースに、プリアンプをTAD-C1000、パワーアンプはTAD-M2500TX、スピーカーがKUDOS TITAN 505。
ここに対して、給電条件を「壁コンセント」「ARAY MKII SE」「KATANA 25」の順で切り替えました。

KATANA 25を使う際は、リジェネレータ系統をLUMIN D3に、トランス系統をプリアンプとパワーアンプに割り当てました。

電源だけを替えたときに何が起きるのか?を聴いてみました。

試聴曲紹介

試聴に選んだのは、音数が多すぎず少なすぎず、空間表現と低域の扱い、ボーカルの質感が見やすい以下の3曲です。

Ólafur Arnaldsの「Loom (feat. Bonobo)」は、無音からの立ち上がりと、ノイズテクスチャの浮き方が好きで、こういう比較では外せません。

James Blakeの「Famous Last Words」は、ボーカルの定位とリバーブの余韻が、ちょっとした違いで気持ちよさが変わってきます。

Samphaの「Spirit 2.0」は、ボーカルの輪郭と、ハイハットやリムショットのキレ、低域の厚みが一度に見える曲です。

試聴インプレッション

まず壁コンセント。


十分いいです。
というか、このシステムなら当然と言えば当然で、KUDOS TITAN 505のボリューム感とタイトさがちゃんと両立しています。
「壁コンでもいいじゃん…!!」と思わされてしまいました。

次にARAY MKII SE。

一番最初に来たのは、背景の静かさでした。
Ólafur Arnaldsの「Loom」は、無音状態からシンセとノイズテクスチャが中央に浮かび上がってくる曲ですが、ARAYを入れると、その浮き上がり方がより繊細になります。
輪郭が硬くなるのではなく、ノイズの粒が細かくなる感じ。
低域も明瞭になって、ベースラインがとりやすくなるような変化です。

James Blakeの「Famous Last Words」は、ボーカルが良いです。
特にリバーブの余韻がとても綺麗。消え際がとても繊細にフェードアウトしていきます。
シンセのフィルターの開け具合までわかるような、微細な音の変化も追いやすくなりました。
低い帯域で鳴るベースの壁も、整理されている印象です。

Samphaの「Spirit 2.0」では、ボーカルの輪郭が鮮明に。
ハイハットやリムショットのような破裂音のキレが良く、全体的に「気持ち良いサウンド」へ寄ります。
“気持ち良い”って全然具体的じゃないしありきたりですが、今回は本当にそれでした。

最後にKATANA 25。

入れた瞬間に分かるのは、全体の重心が下がって腰が据わる感じです。
ARAYで見えた静けさや見通しの良さを保ちながら、音像が落ち着いて、スピーカーが一段大きく鳴っているように感じる場面がありました。

「Loom (feat. Bonobo)」では、ノイズテクスチャが鋭くないのに甘くもない、ちょうどいい塩梅になります。
角が取れて丸くなるのとは違って、輪郭は残ったまま、なんというか…肌触りが良くなったような笑。
そしてベースが太く、芯がある。低域が増えるというより、低域の“重心”が見える感じです。

「Famous Last Words」や「Spirit 2.0」は、ボーカルが生々しく、存在感が増した印象でした。
歌の前に立っている人の体温というか、口の開き方というか、そういう“生っぽさ”が増える。
さらに驚いたのは、楽器の位置関係がより明確になったことです。
左右の広がりだけでなく、前後の距離感が掴みやすくなる。ボーカルが前に出た分、後ろの空間もきちんと奥へ引っ込みます。

総じて、S/Nの良さ、無音から浮き出てくる音の臨場感はどちらにもあります。

一方で、良くも悪くも大きくて重いので視覚的な主張が強いですね。これを置けるご家庭もなかなか少ないのでは…と思わず思いました。

とはいえ、KATANA 25の腰の据わった低域と、リアルな空間表現にはかなり驚かされました。

電源をリジェネレーターからとるかトランスからとるかで音が変わるので、その違いを楽しむのも面白いですね。

今回の試聴では、いずれも音の方向性が“整う”感じがはっきり出ました。

終わりに

今回比較したKOJOのクリーン電源。

ARAY MKII SEは、静けさと見通し、輪郭の整い方が魅力でした。
KATANA 25は、そこに加えて、低域の腰と空間のリアルさ、そして“基幹が固まる”安心感があります。

もし今、壁コンセントで十分気持ちよく聴けているなら、それはそれで幸せなことだと思います。(店としては本当は言わなくてもいいのかもしれませんが。)

でも、壁コンセントでちゃんと良い音で鳴っているシステムほど、電源を足したときの変化も“誇張されずに”見える気がしています。

そのうえで、あと一段だけ、音の見通しや余韻の美しさ、空間の手触りに触れたくなったら、クリーン電源はかなり有効なアップグレードだと思います。

OTAI AUDIOでは、スピーカーなどオーディオ機器はもちろん、電源機器選びのご相談も受けています。

いきなり結論を出すより、今のシステムの良さを残したまま、どこまで必要かを探す。
そういう試聴のほうが、電源周りは失敗しにくい気がしています。

気になる方は、お問い合わせや来店試聴のご相談をどうぞ。