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【OTAIAUDIOリクトの音観録 #29】レコードの“針圧”って何? 強く押さえた方がいいの?

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OTAIAUDIOリクトの音観録 #29

レコードの“針圧”って何?
強く押さえた方がいいの?

皆様こんにちは!オタイオーディオのリクトです!

レコードプレーヤーの説明書を読んでいると、突然出てくる言葉。

「針圧」

1.8g、2.0g、3.5g…。

数字は書いてあるけど、

「結局これ、何の重さなの?」

となる方もいらっしゃるかと。

さらに、

「針飛びするなら、もっと強く押さえればいいんじゃない?」

「逆にレコードを傷つけたくないなら、軽ければ軽いほど良い?」

という疑問も出てきます。

今回は針圧とはそもそも何なのか、強すぎる・弱すぎるとどうなるのか、そしてどうやって合わせるのかを整理していきます!

執筆:OTAIAUDIO 野村 陸斗

結論:「強い方が良い」でも「軽い方が良い」でもありません。

針圧で一番大事なのは、

そのカートリッジに指定された
「適正針圧」に合わせること。

これです。

カートリッジには、それぞれメーカーが想定している針圧があります。

例えば、

ortofon / 2M Red
適正針圧:1.8g
audio-technica /AT-3600L
HAKU HTT-1100では3.5gで使用

かなり数字が違いますよね。

3.5gだから「重すぎる」、1.8gだから「高性能」ということではありません。

カートリッジごとに構造や設計が違うので、その製品に合った数値で使うことが大切です。

01
WHAT IS TRACKING FORCE?

そもそも「針圧」って何?

かなり簡単に言うと、

レコード針が、レコードの溝へかかる力

です。

レコードの溝には非常に細かな凹凸が刻まれていて、その動きを針先が追いかけます。

レコードの音溝
針先が溝に接触
溝の動きに沿って正確にトレース

この時、針先が溝へ適切に接触するために必要なのが針圧です。

軽すぎてもダメ、重すぎてもダメ。ちょうど良い力で溝を追わせます。

02

じゃあ、軽い方がレコードに優しい?

一見そう思いますよね。

レコードに針を押し付けるなら、

「軽い方が傷まないんじゃない?」

と。

でも、針圧が軽すぎると針先が溝を安定して追えなくなります。

・針飛びしやすくなる
・音が歪む
・低音が安定しない
・溝を正確にトレースできなくなる

といった症状が出る場合があります。

「レコードを傷めたくないから、とにかく針圧を軽くする」は正解ではありません。

03

じゃあ、強く押さえれば針飛びしなくて安心?

これも違います。

確かに針圧を強くすれば、単純には針が溝から外れにくくなる方向へ働きます。

でも、指定値を大きく超えてしまうと、

・レコードの溝へ必要以上の負担をかける
・針先の摩耗を早める原因になる
・カンチレバーへ負担をかける
・本来の音質バランスから外れる

可能性があります。

針飛びするから+1g!
……みたいな調整はNG。

まずメーカー指定の範囲へ正しく合わせ、そのうえで他の原因を確認しましょう。

04

なぜカートリッジによって針圧が全然違うの?

カートリッジは、全部同じ構造ではありません。

針先、カンチレバー、ダンパー、発電機構などの設計が違うため、適切に動作する針圧も変わります。

例えば、先ほどの

ortofon 2M Red
適正針圧 1.8g
audio-technica AT-3600L
HAKU HTT-1100では3.5g

この2つを見て、

「2M Redの方が半分くらい軽いから、レコードに優しい!」

と単純比較するものではありません。

針圧はカートリッジ同士の優劣を示す数字ではありません。

05

針圧は、どうやって調整するの?

調整式トーンアームの場合、多くはアーム後方にあるカウンターウェイトを使います。

重りを前後させることで、

重りを後ろへ
→ 針先側が軽くなる方向
重りを前へ
→ 針先側へ力がかかる方向

というバランスを取っています。

レコードプレーヤーの針圧調整

つまり、針圧とは単純に針へ上から重りを載せているわけではなく、トーンアーム全体のバランスを利用して作っています。

06
ZERO BALANCE

まず「0g」を作ってから、必要な針圧をかける。

一般的なカウンターウェイト式トーンアームでは、まず水平バランスを取ります。

STEP 1
カートリッジを取り付ける
STEP 2
カウンターウェイトを動かし、アームが水平になる位置を探す
STEP 3
その位置を「0」の基準にする(アーム水平状態で、数字が書いてある箇所だけを回し、0に合わせる)
STEP 4
カートリッジ指定の針圧までウェイトを回す

例えば適正針圧が2.0gなら、

0 (アーム水平状態)→ 2.0g

という流れです。

トーンアームによって調整方式は異なります。実際の調整は、必ずお使いのプレーヤー・トーンアームの説明書に従ってください。

07

数字のリングを「2」にするだけではダメな場合も。

ここ、初心者の方が間違えやすいところです。

カウンターウェイトには、

0 0.5 1.0 1.5 2.0……

という数字が書かれていることがあります。

ですが、先に水平バランスを取って「今ここが0ですよ」という基準を作っていないと、目盛りだけ合わせても正しい針圧にはなりません。

まずゼロバランス。そこから指定針圧。

この順番を覚えておきましょう。

08
STYLUS FORCE GAUGE

もっと正確に確認したいなら「針圧計」。

カウンターウェイトの目盛りだけでも調整できますが、

「本当に2.0gかかってる?」

と気になったら針圧計という道具があります。

針を乗せる

実際の針圧を測る

というシンプルな道具です。

カートリッジ交換を頻繁にする方や、より細かくセッティングしたい方には便利です。

最初から絶対必要なアクセサリーではありませんが、アナログを深く楽しむようになってきたら持っていて損はないアイテムです。

09

針圧を変えたら「アンチスケーティング」も確認。

針圧とセットで出てきやすいのが、

アンチスケーティング

です。

レコード再生中、トーンアームには内側へ引っ張られる力が働きます。

アンチスケーティングは、その力を補正する仕組みです。

多くのプレーヤーでは、まず針圧と同程度の数値へ合わせる案内がされています。

例えば、

針圧 2.0g
アンチスケーティング 2.0

というイメージです。

※機種によって調整方法が異なるため、最終的には各メーカーの指定をご確認ください。

アンチスケーティング調整

HAKU HTT-1100では針圧だけでなくアンチスケーティングも調整できます。

10

そもそも針圧調整ができないプレーヤーもあります。

ここまで読んで、

「自分のプレーヤー、後ろに重りなんてないけど……」

という方もいると思います。

入門用のフルオートプレーヤーなどでは、

メーカー側で使用するカートリッジと針圧が決められ、ユーザーが調整しない設計

になっている製品もあります。

これは悪いことではありません。

むしろ「難しい調整をせず使いたい」という方にとっては、とても分かりやすい設計です。

11

カートリッジを交換したら、針圧もやり直す。

これはかなり重要です。

例えば今まで3.5gのカートリッジを使っていて、

そこから2M Redへ交換したとします。

カートリッジを付け替えただけで、

前の3.5g設定のまま再生!

はダメです。(2M Redの適正針圧は1.8g)

カートリッジを交換したら、

① 水平バランスを取り直す
② 新しいカートリッジの適正針圧へ合わせる
③ アンチスケーティングなども確認する

という流れで再調整しましょう。

12

針圧で音も少し変わる?

変化する場合があります。

カートリッジによっては適正針圧が、

1.8 ~ 2.2g
標準 2.0g

のように「範囲」で指定されていることがあります。

その範囲内で微調整すると、音の聴こえ方が多少ですが変化することもあります。

ただ、初心者の方ならまず、

メーカーの標準値に合わせる。

ここからで十分です。

13

針飛びする時、針圧だけを疑わない。

針飛びすると、

「もっと重くしよう!」

となりがちですが、原因は針圧だけとは限りません。

✓ プレーヤーは水平?
✓ レコード盤が大きく反っていない?
✓ 針先が汚れていない?
✓ レコードの溝に傷や汚れがない?
✓ アンチスケーティングは適切?
✓ トーンアームやカートリッジの取り付けは正しい?

なども確認しましょう。

針飛び=針圧不足、と決めつけない。

CHECK LIST

針圧調整で覚えておきたい5つ。

1
適正針圧を調べる
カートリッジの説明書・メーカー仕様を確認。
2
水平バランスを取る
まず0の基準を作る。
3
指定針圧へ合わせる
強すぎず、弱すぎず。
4
アンチスケーティングも確認
機種の指定に従って調整。
5
カートリッジ交換時は再調整
前の設定をそのまま使わない。

SUMMARY

まとめ:針圧は「強さ比べ」ではありません。

今回一番覚えてほしいのは、

針圧は、そのカートリッジに
合った値へ調整する。

ということです。

軽すぎる → 針飛び・歪み・トレース不良の原因
重すぎる → 盤・針・カンチレバーへの負担
適正値 → カートリッジが本来の状態で溝を追える

そして、

1.8gのカートリッジもあれば、

3.5gのカートリッジもあります。

数字が小さいほど偉いわけでも、
数字が大きいほど偉いわけでもない。

メーカーが指定した、そのカートリッジにとっての「ちょうど良いところ」を使いましょう。

前回の音観録はこちら

レコードはどうやって保管する?
初心者が知っておきたい保存方法

レコードは立てる?平積み?内袋や外袋は必要?大切な盤を長く残すための基本的な保管方法をまとめています!

前回の記事 #28を読む

「このカートリッジ、何gにすればいい?」もお気軽に!

例えば、

「カートリッジを交換したけど針圧が分からない」

「針飛びするから針圧を重くしていい?」

「ゼロバランスの取り方が分からない」

「アンチスケーティングは何に合わせる?」

「今のトーンアームにこのカートリッジは使える?」

そんな内容でも大歓迎です。プレーヤーとカートリッジの型番を教えていただければ、確認しながらご案内します!

OTAI AUDIOに相談する

レコードに優しく。針に優しく。人にも優しく。

最初は、

「針をレコードに押し付けて大丈夫なの?」

と不安になりますよね。

でも、その針がきちんと溝を追うために必要なのが針圧です。

強すぎず、弱すぎず。

メーカーが設計した「ここ!」へ合わせる。

自分でゼロバランスを取って、ウェイトを回して、いざ針を落としてちゃんと音が出た時は、

「おっ、アナログ分かってきたかも」と思えますよ笑

それでは、最後までご精読ありがとうございました!
また次回の音観録でお会いしましょう!!

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