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【ボブ・ディラン コンプリート武道館 発売記念 !】45年の時を超えて、あの熱が甦る…【鈴木智雄インタビュー Pt.1】丨オタイオーディオTV

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45年を超えて甦るボブ・ディラン「コンプリート武道館」――録音エンジニア鈴木智雄氏が語る、1978年と新リミックス

1978年・日本武道館の熱を、45年後にもう一度ミックスする

音楽の楽しみ方の一つに、オーディオシステムによる再生があります。今回は以前公開したYouTubeから、レコーディングエンジニアの鈴木智雄氏をゲストにお招きし、リミックスにおいて何を表現したかったのかを詳しくインタビューした動画をブログにまとめました。試聴したオーディオシステムやアクセサリーは、その音や表現をしっかりと再現できているのか――。ぜひYouTube動画もご視聴ください。

1978年2月28日と3月1日に日本武道館で行われたボブ・ディラン初来日公演。その録音を担当した鈴木智雄氏をOTAI AUDIOにお迎えし、2023年11月15日発売の『コンプリート武道館1978』を題材に、当時のライブ録音の裏側や45年後のリミックスに込められた想いを、ようすけ管理人・ペガサス田中とともに約1時間にわたって掘り下げています。CBSソニー時代の現場の空気感から、ACOUSTIC REVIVE製品を用いたマスターテープ取り込み、ミキシングで重視した「リアリティ」まで、エンジニア本人の言葉でお届けします。

動画でもご覧いただけます

2日間の日本武道館を、今度はすべて残す

1978年に発売された『武道館』では、2日間に録音された演奏から選曲し、2枚のアルバムとしてまとめられました。

『コンプリート武道館1978』では、その2日間をあらためてすべてリミックス。約270分、全58トラックを収録し、そのうち36トラックが未発表として構成されました。4CD版に加え、8LP版、未発表曲をまとめた2LP版についても動画内で触れています。

「今回は2日間を全部、全てリミックスし直して、僕、ディラン宛に送ってOKをいただいて、出すと。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

1978年版とコンプリート版の大きな違い

実現まで約20年。眠っていた2日間のテープが動き出す

この企画は、2023年の発売直前に突然始まったものではありません。

約20年前から2日間の録音テープを探す動きがあり、テープを発見した後にはラフミックスも制作。ボブ・ディラン側へ送ったものの、なかなか承認には至りませんでした。

長い時間を経てようやくOKが出ると、保管されていたアナログテープを取り出し、ハードディスクへ取り込んで新しいミックス制作がスタートします。1978年の演奏と録音そのものは変えず、現代の環境でもう一度その音と向き合う作業です。

「20年前に思いついて、15年前に仮ミックスを作って送ってて、それから15年、いろんなことがあって、去年の5月にOKが出て。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

コンプリート武道館が実現するまでの長い道のり

新しいミックスのキーワードは「当時の熱量」

今回のリミックスで中心になった言葉が「熱量」です。

1978年の武道館で起きていたことを、単にきれいな音へ整えるのではなく、その場で演奏されていた音楽の勢いやプレイヤーの動きを記録物として残す。そのため、以前のミックスより楽器の出し入れをはっきりさせ、サックスなどが入ってくる瞬間も分かりやすくしています。

一人ひとりの演奏を細かく聞けるようにしながら、バンド全体のエネルギーを失わない。この方向をディレクターと何度もやり取りし、約5週間かけて仕上げています。

「その熱量のあるというのを伝えるためにっていうことでやったのは、楽器の出し入れをちょっと昔のものとは違って、少し多めにというか、メリハリをつけた感じでミックスしてますね。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

45年後のリミックスで「熱量」をどう表現したのか

アナログテープとPro Toolsを、わずか1.5mでつなぐ

リミックス以前に重要になるのが、1978年のアナログテープに記録されている音をデジタル環境へ移す工程です。

一般的なスタジオの回線を通し、長いケーブルの先にあるPro Toolsへ送る方法ではなく、今回はPro Toolsのシステム自体をアナログレコーダーのすぐ裏まで移動。ACOUSTIC REVIVEの1.5mケーブルで直接つなぎ、できるだけ短い経路で取り込んでいます。

「今回はPro Toolsを借りてきてアナログレコーダーの裏に置いて、アコースティックリバイブのケーブルで、1.5mのケーブルでアナログレコーダーから即Pro Toolsに取り込む。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

マスターテープを短い経路でデジタル化した方法

 

Acoustic Revive XLR-1.0TripleC-FM

 

ACOUSTIC REVIVE

ACOUSTIC REVIVEのXLRケーブル。商品仕様や販売情報をOTAI AUDIOの商品ページで確認できます。


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「癖がない」。録音現場でケーブルに求めてきたもの

ACOUSTIC REVIVEとの出会いは2000年頃。電源ケーブルを試したことをきっかけに、録音やミックス、カッティングまで幅広く使うようになりました。

求めているのは、ケーブル自体の個性を音へ付け加えることではありません。演奏者が意図した音がそのまま出てくること。どこかの帯域だけを強く見せず、音楽の距離感やバランスを保てることです。

「まず癖がない。で、演奏者が意図した音がちゃんと出てくる。シンプルなんですね。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

録音エンジニアがケーブルに求める「癖のなさ」


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ケーブル、電源、オーディオアクセサリーなどの取扱製品を一覧で確認できます。 →

 

録音とミキシングで一番大切にしている「リアリティ」

長いレコーディング人生の中で大切にしてきたものを一言で表すと「リアリティ」。

ボーカルがスピーカーの間にきちんと立ち、楽器同士の距離が自然につながる。ドラムならキック、スネア、ハイハット、シンバルが、同じ楽器を演奏している距離感として聞こえる。ピアノなら低音側と高音側で不自然に位置がずれない。

単に解像度を上げたり、高域や低域を強調したりする話ではありません。目の前で演奏された音楽の関係性を、そのまま記録として成立させることです。

「一言で言うとリアリティですよね。例えばスピーカーの間にちゃんと歌手が登場して、楽器間のバランスが良くて、楽器の中のバランスが良くて。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

鈴木智雄氏が考える「リアリティ」のある再生

上手い演奏が持っているバランスを、記録物にも残す

生のドラムを例に、演奏そのものが持つバランスにも話が及びます。

上手いドラマーが叩けば、シンバルだけが必要以上に飛び出したり、スネアだけが耳についたりするのではなく、ドラムセット全体が音楽的なまとまりとして鳴ります。その自然な関係を録音後に壊さず、スピーカーから出てくる音にも残す。

『コンプリート武道館1978』で語られる「熱量」も、この考え方につながっています。演奏の勢いだけを強くするのではなく、そこで起きていた演奏を音楽として残していきます。

「それやっぱリアリティですよね。それを記録物として残したいと思うのが、僕がエンジニアとしてやらなきゃいけない一番大事なことだと思ってる。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

演奏のリアリティを記録に残すという仕事

オーディオで聴くときも、中心にあるのはアーティストの音

オーディオでは、ケーブルやアクセサリーを交換すると音のバランスを大きく変えることもできます。

ただ、録音現場ではアーティストが長い時間をかけて作り上げた演奏を受け取り、ミックスでも細かなところまで詰め、その状態で作品として送り出しています。試聴に使用するオーディオシステムやアクセサリーも、音を無理に誇張・変化させるためではなく、そうした制作現場の意図や「アーティストの真の音」をしっかりと描き出すためにこそ活かされるべきだと感じさせられます。

再生側で何かを大きく足すよりも、まず作品の中に入っている音をきちんと受け取る。ボブ・ディランの武道館を45年後にもう一度ミックスした話を聞いたあとでは、同じアルバムの聴こえ方にも違った視点が生まれます。

「あなたの好きなアーティストが作った作品は、アーティストが思ったような音で再生しましょうってことです。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

アーティストが作った音をそのまま受け取るという考え方

最後に音を音楽へ変えるのは、技術だけではない

ミキシングの話は、機材や数値だけでは終わりません。

松田聖子のレコーディングでは、「海辺」「風」「白いワンピース」といった具体的な情景をディレクターから伝えられ、その風景を頭の中に描きながらミックスした経験も語られています。

フェーダーで音量を合わせる技術があっても、それだけでは作品の世界までは完成しません。演奏の向こう側にある景色や気持ちまで想像し、その思いを音の中へ組み込んでいく。『コンプリート武道館1978』で追い続けた「当時の熱」も、数字だけでは表せない部分です。

「ただ音をこう積み重ねてバランス取ってって音楽って確かに成り立つんだけど、やっぱりそこにプラスアルファできるのって、なんか思いじゃないですか。」 – 鈴木 智雄 氏 ▶︎

ミキシングに「思い」を組み込むという仕事

※動画は撮影当時の内容です。動画内で紹介されている発売情報・価格などは現在と異なる場合があります。