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【ドラマティックに逢いに行きませんか?第一弾】Stereo Sound誌とオーディオの歴史をひもとく【1980年 第56巻】

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第一弾! Stereo Sound誌とオーディオの歴史をひもといてドラマティックに逢いに行こう・・・

こんにちは!オタイオーディオのオレンジです。
今回より、過去のStereo Sound誌を私オレンジがご紹介しながらオーディオの歴史を振り返って見たいと思います。

まずは第一弾ですが1980年(昭和55年)  第56巻からのご紹介です。

ご紹介は「表紙の機器」、「スピーカ」、「アンプ」、「プレイヤー」、「アクセサリー」の5種類を当時の人気機種や時代背景から選ばせていただきたいと思います。


なぜ令和の時代に昭和のStereo Sound誌なのか?

疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。

今オーディオ機器の購買層で一番多いのは50代~60代の方々だと思います。
その方たちが若い頃に実際にお持ちだったり、憧れていたオーディオ機器を、今30代の私が改めてご紹介をし、当時を懐かしく感じていただければと思います。

しかし!
今の若い方にこそ、本ブログを読んでほしいという思いもあります。

オーディオは日々進化していますが、音楽という趣味は古今東西普遍的な物だとおもいます。
試聴スタイルの主流はレコードからCDへ、そしてストリーミング配信やデジタルファイルのハイレゾ再生へと移り変わっています。

それでは昔のオーディオ機器や試聴方法は「古くて」、「悪い音か」と言われるとそれは違うでしょう。

アナログ・レコードやカセットテープの再ブームがすごいい勢いであることは周知の事実ですし、現に私は1980年製造のパワーアンプ marantz SM-10でハイレゾを再生していますが、とても良い音で鳴っています。

試聴するための機器や方法は変わっても「良い音」にかける情熱や想いは、きっと今の若い方にも通じるものが有るのではないでしょうか。

そういった思いや情熱を、オーディオ誌で権威の有る「Stereo Sound」から、みなさんと一緒に素晴らしい製品を振り返りながら「ドラマティック」に逢いに行くお手伝いができれば幸いです。


Stereo Sound 1980年 56巻の表紙より

▼THORENS(トーレンス) レコードプレイヤー 「リファレンス」

はじめにご紹介するのはTHORENSのレコードプレイヤー「リファレンス」です。
オーディオフリークであればアナログファンでなくとも一度は聞いたことの有るメーカではないでしょうか。

▼見出しには「超マニア用 トーレンス・リファレンス は大変な製品だ。すごい可能性、すごい音質、そしてその偉容」とあります。

それもそのはずです!当時の価格で3,580,000円と大変高価です。なお、THORENSのカタログでは他のレコードプレイヤーが20万、25万と大変な開きがあります。
1980年での3,580,000円は現在の価値に直すと5,800,000円相当だそうです。

当時でも相当高価ですが、いまでも超弩級のレコードプレイヤーが購入可能な価格帯です。

総重量は木製のプレイヤーベースを含め約100Kgで設置には5人必要とのことでした。(移動に4人、もう1人は置き場所に木製ベースを持ってスタンバイする)
このことからも大変な物量を投入し、質実剛健で非常に音質の高いプレイヤーだったことは想像に難しくないでしょう。

アームが3つ取り付けることが可能で、THORENSの中でも圧倒的な高級(フラグシップ)機です。

▼オタイオーディオのレコードプレイヤーのリファレンス機であるTechnicsのSL-1000Rも同様に3つのアームが取り付ける事が可能ですね!

「リファレンス」は、もともと一般販売する予定はないTHORENSの研究用、実験用としてのみを目的として作られたプレイヤーのようです。

それが、西ドイツ デュセルドルフでのオーディオフェアにデモンストレーション用に展示したところ、世界各国のディーラーやオーディオフリークから猛反響が来て製品化されたそうです。


スピーカー B&Wの製品についてご紹介

▼B&W Model801とDM-12(画面左2つ)

今でもなお圧倒的な人気を誇るB&Wのスピーカーですが、この当時からモニタースピーカーと言われていました。

この頃からすでにB&Wは先進的な音作りと、最新技術を駆使して新たなるスピーカーを作り出そうとしていたようです。

型番の801だけで見ると、今は800D3シリーズがあり、皆さんも御存知である「ダイアモンドツイータ」に「コンティニュアムコーン」と、今も昔も最先端を目指す姿勢には驚かされます。

現在の取扱代理店はD&Mホールディングスですが、当時は今井商事(株)でした。
このあたりは時代を感じさせますね。


アンプ YAMAHAの製品についてご紹介

▼YAMAHA プリメインアンプ 「A-7」

当時の価格で89,000円と、今で言えばミドルクラスの製品だと考えられます。
YAMAHAの現行ラインナップで言えば、A-S801相当でしょうか。

デザインに目を凝らしてみます。
アンプのフォルムやシルエットは現在のYAMAHA製アンプに通じるものがあり、昔から美しいことを感じさせます。

約40年前の製品ですが、いまカタログに乗せても十分通じるデザインの良さを感じます。また、デザインに古さを感じさせず、古き良きものを続けているYAMAHAには好感が持てます。

音はYAMAHAらしくナチュラルで優しく、バランスの良い「心地いい」音がするのでしょうか・・・
そんな事を想像させてくれるアンプです。


プレイヤー Nakamichiの製品についてご紹介

▼Nkamichi カセットデッキ 「1000 ZXL」

NkamichiといえばCR-70、DRAGON、1000ZXLのカセットデッキが有名ですね!

現在でもNkamichiのカセットデッキは中古市場で大変高値で取引されている人気メーカーです。

1980年、私はまだ産まれておりません。この後幼少時代よりカセットに慣れ親しんできましたが、流石に子供でしたので、本格的なオーディオグレードのデッキを購入することはできませんでした。

それでもラジカセでカセット再生を楽しんでおりました。

アニメやアイドルの曲を聴き、テレビから出る音をマイクで拾って録音などしていたことを思い出しました。


アクセサリー AUDIO CRAFTのご紹介

▼主にアナログ機器アクセサリーが並ぶ

オーディオアクセサリーはStereo Soundでももちろん掲載されております。

今はアナログからデジタル、中にはどのように使っていいのか?と悩むような製品まで百花繚乱のアクセサリーが販売されておりますが、この頃はレコードプレイヤーが中心となったラインナップだったようです。

左下にスピーカーケーブルがありますが、それ以外は全てレコードプレイヤー関係のアクセサリーです。

まだ電源ケーブルやインシュレーター、オーディオボード等のアクセサリーはまだ登場していないみたいですね!?

特に私は電源関係のアクセサリーに注目していますが、まだホスピタルグレードのコンセントやプラグは当然のように出てきておりません。

今後これらのアクセサリーがいつ頃登場するのかとても楽しみです。


今も昔もオーディオは「熱かった」!!!

今回Stereo Sound誌を読んで1番に感じたことは、今も昔もオーディオに対する熱気や熱さは変わらないという事です。

それは音楽やオーディオへの愛や情熱、憧れや想いなどをレポートの文面からひしひしと感じるからです。

その一片を本ブログからお伝えし、ベテランオーディオフリークには懐かしさを、若い方々には新鮮さや熱気を感じて頂ければ幸いです。

なお、読み続けるうちにある事に気付きました。それはCDプレイヤーが全く登場しないという事です!

それもそのはずですね!CDプレイヤーの発売が始まったのは、約2年後の1982です。まだ、影も形もないですね。

また、特徴深いのは「デジタル」はもちろん「アナログ」という言葉すら出てこないという事です。

この時代の主流は当然レコードプレイヤーですが、CDプレイヤーが無いためにあえて区別する必要がなかったのですね。

いかにアナログ再生、特にレコードプレイヤーがオーディオの中に浸透し、再生装置の主役であったかを伺える出来事ではないでしょうか。

今後はCDプレイヤーの登場から、SACD、ネットワークオーディオと再生の移り変わりまでご紹介できればと思います。

つづく