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【OTAIAUDIOリクトの音観録 #36】レコードプレーヤーのアーム、形によって何が違う?

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OTAIAUDIOリクトの音観録 #36

レコードプレーヤーのアーム、
形によって何が違う?

皆様こんにちは!オタイオーディオのリクトです!

レコードプレーヤーを見比べていると、勘の良い方はお気づきになるでしょう…。

「なんでアームが真っ直ぐなものと、曲がっているものがあるの?」

というところ。僕も実際、別に統一すれば良いのに〜と思ってました。

よく見るのは、

・ストレートアーム
・S字アーム
・J字アーム

あたりでしょうか。

見た目だけを見ると、

「ストレートの方が音がまっすぐ伝わりそう。」

とか、

「S字の方が高級そう。」

なんて思うかもしれません。

ですが実際は、もう少し複雑です。

アームの形だけで、音の良し悪しは決まりません。

今回は、トーンアームの形の違いから、その奥にあるトラッキング・カートリッジ交換・剛性・DJ用途との違いまで見ていきます!

執筆:OTAIAUDIO 野村 陸斗

結論:見るべきは「曲がっているか」より、アーム全体の設計。

ざっくりした傾向としては、

S字 / J字アーム
着脱式ヘッドシェルを採用した製品が多く、カートリッジ交換を楽しみやすい。
Hi-Fi系ストレートアーム
シンプルなパイプ構造にしやすく、剛性や軽量化などを重視した設計も多い。

ただし、

ストレートだから高音質、S字だから交換向き、と一括りにはできません。

本当に重要なのは、

実効長
オーバーハング
オフセット角
軸受けの精度
アームの剛性・質量
カートリッジとの組み合わせ

こういった部分を含めた総合設計なんです。

01

そもそもトーンアームって、何をしている?

見た目だけなら「針を支えている棒」です。

でも実際はかなりの働き者なんです!

カートリッジを支える
適切な針圧をかける
レコードの溝に沿って移動する
余計な振動をできるだけ加えない

つまり、

針を、正しい状態で音溝へ追従させる。

これがトーンアームの大きな役割です。

Technics SL-1500CW S字トーンアーム

Technics SL-1500CW。伝統的なS字型トーンアームを採用しています。

02

”S字アーム”

Technicsのターンテーブルなどで馴染み深い形ですね。

上から見るとアームパイプが緩やかにS字へ曲がっています。

この形そのものが音質を良くしている、というよりも、

・アーム先端へ必要な角度を持たせやすい
・着脱式ヘッドシェルを採用しやすい
・カートリッジ交換を行いやすい

という特徴を持った設計が多いです。

「今日はMM、次はMC!」のようにカートリッジをコロコロ替えて楽しみたい人とも相性が良い。

03

”J字アーム”

文字通り、上から見るとJのような形をしたアームです。

考え方としてはS字アームに近く、

・先端へ適切な角度を持たせる
・着脱式ヘッドシェルを使える製品も多い
・カートリッジ交換を楽しみやすい

といった特徴があります。

S字とJ字のどちらが上というものではなく、メーカーがアーム全体をどう設計したかを見る方が重要です。

04

”ストレートアーム”

ストレートアームには、

曲げ部分を作らず、真っ直ぐなパイプで構成しやすい

という特徴があります。

そのため設計によっては、

軽量化
剛性
共振のコントロール

などを狙いやすくなります。

Regaのように、アームとヘッド部分まで一体的に設計しているHi-Fiプレーヤーも代表的です。

ただし「真っ直ぐ=音が最短距離で伝わるから高音質」という意味ではありません。

Rega Planar 1 mk2 ストレートトーンアーム

Rega Planar 1 mk2。Hi-Fi用ストレートアームの代表的な考え方の一つ。

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同じ「ストレートアーム」でも2種類ある!?

一口にストレートアームと言っても、

Hi-Fi用ストレートアーム
アーム自体は真っ直ぐでも、カートリッジには適切なオフセット角が付けられている。
一部のDJ用ストレートアーム
針飛びしにくさなど、DJプレイでの安定性を優先した独自のジオメトリーを採用するものがある。

見た目はどちらも真っ直ぐ。

でも、設計思想はかなり違います。

「ストレートアーム」という言葉だけで特性を判断しないことが大切です。

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アームの形を見るなら、「針がどっちを向いているか」も見る。

一般的な回転式トーンアームは、支点を中心に弧を描いて移動します。

でもレコードの音溝は、カッティング時には基本的に盤の半径方向へ対して一定の関係を保ちながら刻まれています。

そこで必要になるのが、

オフセット角

です。

カートリッジをアームそのものに対して少し角度を付けて取り付けることで、レコード面の複数の位置でトラッキングエラーを抑えるよう設計します。

S字アームではパイプそのものを曲げて、この角度を作っているように見えるものもあります。

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「オーバーハング」もトラッキングに関係する。

ターンテーブルの中心軸と、アームの支点を結んだ距離だけでアームが終わるわけではありません。

針先を少し先へ出すことで、レコード全体でのトラッキング誤差を小さくするよう設計します。

これがオーバーハングです。

「S字かストレートか」以上に、こうしたジオメトリーの方が再生には直接関係します。

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普通のアームは、レコード全域で完全に真っ直ぐにはならない。

一般的なトーンアームは一点を中心に回転します。

なので針先は、

直線ではなく「円弧」を描いて進む

ことになります。

このため、盤面すべての場所でカッティング時と完全に同じ角度を維持することはできません。

そこで実効長、オーバーハング、オフセット角を組み合わせ、

全体として誤差を小さくする。

という設計になっています。

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じゃあ、アームは長い方が良い?

アームを長くすると、同じ盤面を移動する際の角度変化を小さくしやすくなります。

そのため長いアームは、幾何学的にはトラッキングエラーを抑えやすくなる方向です。

ただし、

アーム自体が大きくなる
質量や剛性の設計も変わる
プレーヤー本体も大きくなる

ので、「長いほど絶対に良い」というものでもありません。

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DETACHABLE HEADSHELL

S字・J字でうれしい「ヘッドシェル交換」。

S字・J字アームの実用上かなり大きなメリットがこれです。

着脱式ヘッドシェルなら、

カートリッジA
カートリッジB
カートリッジC

と、ヘッドシェルごと交換しやすい。

例えば、

普段聴き用MM・じっくり聴くMC・モノラル用カートリッジ

のように使い分ける楽しみもあります。

カートリッジを色々試したい人にとって、着脱式ヘッドシェルはかなり便利。

HAKU HTT-1100 トーンアーム

同じレコードプレーヤーでも、メーカーによってアーム構造や設計思想はさまざまです。

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一体型ヘッド部分にもメリットはある。

では交換式じゃないアームは不便でダメなのかというと、もちろんそんなことはありません。

接点や機械的な継ぎ目を減らし、

軽量化
剛性の確保
構造の一体化

などを狙うこともできます。

つまりここも、利便性と設計思想の違いですね。

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実は形より「アームの重さ」とカートリッジの相性も大事。

もう一歩踏み込むと、

トーンアームには実効質量という考え方があります。

そしてカートリッジ側には、針周りの柔らかさを表すコンプライアンスがあります。

この組み合わせによって、アームとカートリッジの共振特性が変わります。

高価なカートリッジを付ければ何でも最高、ではなく、アームとの相性もある。

この辺りから、レコードプレーヤーは一気に沼っぽくなってきますw

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音質を考えるなら、支点部分もかなり重要。

アームはレコードの溝に合わせて、ほんのわずかな力で動き続けます。

そのため支点の軸受けに、

ガタが少ない
摩擦が少ない
スムーズに動く

ということも非常に大切です。

アームパイプの形は目立つ。でも、見えにくい軸受けも同じくらい重要。

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結局、S字、J字、ストレートはどれが良い?

カートリッジを色々交換したい!
→ 着脱式ヘッドシェルのS字・J字が便利
一つのカートリッジでシンプルに楽しみたい
→ 一体設計のストレートアームも魅力的

そして最終的には、

アームだけを見るのではなく、プレーヤー全体で選ぶ。

これが一番かなと!

QUICK GUIDE

ざっくり比較するとこんな感じ。

項目 S字 / J字 Hi-Fi系ストレート
見た目 曲線 直線
ヘッドシェル 着脱式が多い 一体型も多い
カートリッジ交換 しやすい傾向 製品による
剛性・質量 設計次第 シンプルに設計しやすい
音質 形だけでは決まらない 形だけでは決まらない

SUMMARY

まとめ:トーンアームは「形」より、その形をどう使っているか。

今回のポイントをまとめると、

S字・J字は着脱式ヘッドシェルを採用した製品が多い
ストレートはシンプルな構造にしやすい
同じストレートでもHi-Fi用とDJ用では設計思想が違う場合がある
重要なのはオフセット角・オーバーハング・実効長
アームの実効質量とカートリッジの相性もある
軸受けの精度も大切
S字かストレートかだけで音質の優劣は決められない

ということです。

トーンアームは、針を運ぶための棒ではなく、
カートリッジを正しく働かせるための精密部品。

今度レコードプレーヤーを見る時は、「S字だ。」だけではなく、

「ヘッドシェルは交換できる?」「カートリッジはどんな角度で付いてる?」なんてところまで見てみると、かなり面白いですよ!

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マンションでレコードを楽しむときに
気をつけたいこと

音量だけではなく、低音や床・家具へ伝わる振動、スピーカーの置き方、夜のヘッドホン再生まで、集合住宅でレコードを楽しむポイントをまとめています!

前回の記事 #35を読む

「このアームに、このカートリッジ付けられる?」もお気軽に!

例えば、

「ヘッドシェルを交換したい」

「カートリッジをグレードアップしたい」

「MMからMCへ変えられる?」

「オーバーハングの合わせ方が分からない」

「針圧の設定方法が分からない」

「アームとカートリッジの相性が気になる」

そんな内容でも大歓迎です。お使いのプレーヤーやカートリッジの型番を教えていただければ、確認しながらご案内します!

OTAI AUDIOに相談する

形を見るだけでも、プレーヤーの考え方が少し見えてくる。

S字、J字、ストレート。最初は単なるデザインの違いに見えます。

でも、その裏には、カートリッジを交換しやすくしたい、アームを軽くしたい、剛性を確保したい、音溝を正確に追いたい…

というメーカーそれぞれの考え方があります。

形が違うのには、
ちゃんと理由がある。

そう考えながらプレーヤーを見ると、製品選びもさらに面白くなってきますヨ^^

それでは、最後までご精読ありがとうございました!
また次回の音観録でお会いしましょう!!

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