
OTAIRECORD ケンスケです。
「DJを始めたいけれど、機材が多すぎて何を選べばいいか分からない…」
LEBENの店頭に立っていると、そんな声を本当によく聞きます。
とくにエントリー〜中級向けの2ch DJコントローラーは、
どれもコレ1台で始められますと書いてあるので、正直どれも同じに見えがちです。
そこで今回は、当店で人気の次の4機種をピックアップして、
「どんな人にどのセットが向いているか」を解説してみます。

- Pioneer DJ DDJ-FLX4 (主にrekordbox)
- Hercules DJControl Inpulse 500 (主にSerato DJ)
- Reloop Buddy (djay)
- Native Instruments Traktor MX2 (Traktor Pro 4)
「どれも良さそうだけど、自分にはどれが“ハズレじゃないか”」
という視点で読んでもらえると、答えが見えやすくなるはずです。
動画でさらっとご紹介しました!
まずはざっくりと。
最初に、それぞれのセットの「一言イメージ」を整理しておきます。
- DDJ-FLX4 + rekordbox
→ 自宅のデスクからクラブブースまで一直線。「Pioneer王道ルートの入門セット」
- DJControl Inpulse 500 + Serato DJ
→ テンポ合わせを光で教えてくれる、練習〜小規模イベントまでこなせる「Serato向け練習&パーティ向けコントローラー」
- Reloop Buddy + djay
→ スマホやタブレットだけでStemsをいじって遊べる、「モバイル&ストリーミングDJ」向けの気軽なセット
- Traktor MX2 + Traktor Pro 4
→ Stemsとドラムパターンを作り込みたい、「こだわり派のクリエイティブ2chセット」
といったイメージです。
ここからは、それぞれを詳しく見ながら、「向いている人」「向いていないかもしれない人」まで踏み込んでいきます。
将来クラブで回したいなら DDJ-FLX4 + rekordbox

こんなプレイができます
クラブブースにつながる操作感
DDJ-FLX4は、クラブでよく見るPioneerのCDJ+DJミキサーに近いレイアウトになっています。
- 左右にデッキ、真ん中にミキサー
- 3バンドEQやフィルター、エフェクトノブの位置関係
- 8つのパフォーマンスパッド
こうした配置に早い段階から慣れておくことで、将来現場のPioneer DJセットに触ったときも「初めてなのに、だいたい分かる」という状態に近づけます。
実際に、クラブ標準としてPioneer DJのセットが使われている現場は今も多く、
「最初からその流れに乗っておきたい」という人には、とても分かりやすいルートです。
PC・スマホ/タブレット、どこでも同じ感覚で練習できる
DDJ-FLX4は、PC・Macだけでなく、iOS / Androidにも対応しています。
パーティ本番や練習するときはノートPC。
リビングでちょっと遊ぶときはスマホやタブレット。
といったように、生活スタイルに合わせて環境を変えやすいのが強みです。
どのデバイスでつないでも、触っているハードは同じなので、手の感覚はそのまま使えます。
初めての人前プレイで使える安心機能
「クラブで回したい」と思っていても、最初のうちはビートを完全に合わせるのが難しく、不安になりますよね。
DDJ-FLX4には、
- フェーダーを動かすだけで音量やEQ、テンポのバランスを調整してくれるSmart Fader
- 1つのノブで複数エフェクトをまとめて扱えるSmart CFX
といったサポート機能が用意されています。
完璧なミックスを保証するものではありませんが、「ちょっとズレても大崩れしにくい」安心感があるので、初めてのDJプレイに安心して臨めます。
※練習のときは、あえてSyncやSmart機能をオフにして練習しておくのがオススメです。
万が一、楽曲分析ができていない時でも安心ですよ。
向いている人・向いていない人
向いている人
- 将来、Pioneer DJのCDJやミキサーが置いてあるクラブやバーで回したい
- 王道のルートで練習したい
- 自宅でも現場でも、同じ感覚でプレイしたい
向いていないかもしれない人
- 「スマホだけで完結」「PCは持ちたくない」というモバイル特化の遊び方がメイン
→ その場合は、後述の Reloop Buddy + djay の方がイメージに近いです。
- 「できるだけ安く、とりあえずスマホで触ってみたい」
→ 同じPioneer DJなら、超ライトに始められる入門機(DDJ-FLX2など)の方が合うケースもあります。
基礎をしっかり身につけたいなら DJControl Inpulse 500 + Serato DJ

こんなプレイができます
ビート合わせを“目で見て”理解できるLEDガイド
「ビートを合わせる感覚がどうしてもつかめない…」そんな壁にぶつかった経験がある方も多いはず。
Inpulse 500は、本体にBeatmatch Guide / Tempo Guide / Beat Align LightなどのLEDガイドを搭載していて、
- どちらのデッキが速いか/遅いか
- どの方向にジョグを動かすべきか
- どれぐらいズレているのか
といったポイントを光で教えてくれます。
最初は「見ながら合わせる」ことで感覚をつかみ、慣れてきたらガイドをオフにして耳だけで合わせる、というステップが踏めるのが特徴です。
独学でも、どこを直せばいいのかが分かる練習ができるのは大きなメリットです。
クラブDJ御用達DJソフトウェア Serato DJ
付属のSerato DJ Liteは、世界中のクラブやバーで使われているSeratoシリーズの入門版。
- まずはLiteで基本の2デッキプレイに慣れる
- もっと機能が欲しくなったら有償のSerato DJ Proへステップアップ
- そのまま現場のSerato環境にスムーズに移行
という流れが描きやすくなっています。
「いつかSeratoで回してみたい」と思っている人にとって、Inpulse 500は「練習」と「現場」をつなぐ橋渡し役になってくれます。
小さなイベントを“自分で仕切りたい人”にも
Inpulse 500がユニークなのは、「練習機」で終わらないところです。
- スマホなどをつなげるAUX入力(ハードウェアミキサー内蔵)
- EQとVUメーター付きのマイク入力
- フィルターをかけられる外部入力
といった機能により、
などで、BGMとDJとMCを一手に引き受けることができます。
PA卓のない会場でも、Inpulse 500があれば、音のボリュームやバランスをその場で調整しながら進行できます。
向いている人・向いていない人
向いている人
- ビートマッチを基礎からしっかり練習したい
- 将来はSeratoを使ってクラブで回したい
- 自分で小さなイベントの音まわりを仕切れるようになりたい
向いていないかもしれない人
- 「とにかく現場のクラブ機材に慣れておきたい」
→ その場合は、DDJ-FLX4 + rekordbox (またはSerato DJ)の方が近道です。
- 「あまりイベントはしないので、もっとコンパクトで良い」
→ 持ち運び重視なら、後述の Reloop Buddy や、より小型のSerato対応コントローラーも候補になります。
PCレスで気軽に遊びたいなら Reloop Buddy + djay

こんなプレイができます
スマホ・タブレット中心で楽しめるモバイルDJセット
Reloop Buddyは、スマホDJアプリdjay専用に設計されたコンパクトなコントローラーです。
- iOS / Android / Mac / Windows に対応
- 軽量・小型で、持ち運びしやすい
とくに、iPadやiPhoneと一緒に使うことを前提としていて、
- ノートPCを持ち歩きたくない
- いつも使っているスマホやタブレットで手軽にDJをしてみたい
というニーズにぴったりはまります。
ボーカル/ドラムを分けて遊べる「Neural Mix」
djayの大きな特徴が、ボーカル/ドラム/その他に分ける「Neural Mix」。
Buddy本体には、このNeural Mixを直接操作できる
が用意されていて、
- ボーカルだけ抜いてアカペラで流す
- ドラムだけ残して別の曲を重ねる
- インスト部分をループして、その上に違う曲を載せる
といった遊びが、PCなしでもかなり直感的にできます。
StemsをEQノブでダイレクトに操作できるコントローラーは案外貴重です。
「ただ曲を繋ぐ」の一歩先のことを、スマホやタブレットで気軽に試せるのがBuddy+djayの面白さです。
ストリーミング中心のホーム&トラベル用として
djayはApple Music / Spotify (PCのみ)など、複数のストリーミングサービスに対応しています(一部機能 [録音・Neural Mixなど]はサービスごとに制限があります)。
そのため、
- その場でみんなのリクエストを検索してすぐ流す
- 日頃から使っているプレイリストでミックスする
- 作業用BGMをちょっとDJ風に繋いでみる
といった、「その場の空気を楽しくする」用途にとても向いています。
Bluetoothスピーカーやモバイルバッテリーなどと組み合わせると、“バックパックひとつでどこでもパーティ”にかなり近い環境を作れます。
商用利用や録音には制限がありますが、プライベートなパーティや集まりを盛り上げるツールとしては、かなり頼れるセットです。
向いている人・向いていない人
向いている人
- スマホやタブレットでDJを始めたい
- ストリーミングの曲でサクッと楽しみたい
- ステム機能にも興味があって、遊び感覚でいろいろ試してみたい
向いていないかもしれない人
- 「将来はクラブで本気でDJできるようになりたい」
→ その想いがあるなら、最初から DDJ-FLX4 + rekordbox (or Serato) で練習した方が近道です。
- 「イベント現場での安定運用を重視したい」「録音もガッツリ残したい」
→ PC前提での運用や、他のソフトの方が合うケースが多いと思います。
音を作り込んで遊びたいなら Traktor MX2 + Traktor Pro 4

こんなプレイができます
買い切りソフト付属で、届いたらすぐフル機能
Traktor MX2には、最新のTraktor Pro 4 フルバージョン(永続ライセンス)が付属します。
- 後から追加費用のことを心配しなくていい
- 一度購入すれば、長く使い続けられる
という安心感があるのが大きな特徴です。
Traktor Pro 4には、
- ステム分離(ドラム/ベース/楽器/ボーカル)
- 内蔵ドラムパターンのPattern Player
- マスタリング系のOzone Maximizer
- 豊富なエフェクト
など、音を作り変えるための機能がまとめて入っています。
ソフトを別途買い足す必要がないので、「Traktorで長くやっていきたい」と決めている人にとっては、トータルで見るとかなり合理的なセットです。
ステムとパターンで“ライブセット的”なプレイフィール
Traktor MX2本体には、高感度で大きなジョグやパッド、Mixer FX/Deck FX用のノブが搭載されています。
これらを使って、
- 事前にステム解析しておいた曲のパートを抜き差しする
- Pattern Playerでドラムパターンを重ねる
- ループやエフェクトで展開を作る
といった操作を組み合わせることで、2デッキ構成でもライブセットに近い感覚で曲を再構築するプレイが楽しめます。
もちろん、ステム解析やプレイリスト作りなど、ある程度「仕込み」をしてからのプレイが前提になりますが、その分、自分だけのセットをじっくり作り込む楽しさがあります。
向いている人・向いていない人
向いている人
- 買い切りソフトで長く使い倒したい
- トラック制作や音作りに興味があり、DJでもその要素を取り入れたい
- ただ曲を繋ぐだけでなく、「自分のグルーヴで作り変える」感覚を味わいたい
向いていないかもしれない人
- 「とりあえずDJに触ってみたい」「できるだけ安く始めたい」
→ 準備や仕込みの手間も含めて考えると、最初の1台としてはちょっとだけハードルが高めです。
結局、どのセットを選べばいい?
最後に、「どんなDJをしたいか」をもとに選ぶ目安をまとめておきます。
- クラブにある機材の操作に慣れておきたい、王道ルートで練習したい
→ DDJ-FLX4 + rekordbox
自宅での練習が、そのままPioneer DJ流の操作感につながります。
- ビート合わせや選曲etc. DJを基礎からちゃんと練習したい/Seratoを使うことに決めた
→ DJControl Inpulse 500 + Serato DJ
LEDガイドで練習しやすく、小規模イベントも1台でこなせます。
- PCレスで、スマホ・タブレットでサクッと遊びたい
→ Reloop Buddy + djay
モバイル環境に最適化されており、ステム遊びも気軽に楽しめます。
- ステムやドラムパターンで曲をガラッと作り変えるプレイに挑戦したい
→ Traktor MX2 + Traktor Pro 4
買い切りのフル機能ソフト付きで、長く使い込めるクリエイティブなセットです。
どれも「最初の1台」として十分な機能を備えていますが、向いている方向性や得意なシーンが少しずつ違います。
「どんな場所で、どんなDJをしたいのか?」
ぜひイメージしながら、ぴったりの1台を選んでみてください。
クロージング:気になったセットの詳細をチェックしてみよう
ここまでお読みいただきありがとうございます。
あとは、
- どんな場所で回したいか
- どんなソフトウェアを使いたいか
- どんなDJをしたいか
- 予算をどのあたりに置くか
などを考えながら、実際の商品ページで価格や在庫、より詳しい仕様をチェックしてみてください。
「今の自分」に一番近いリンクからどうぞ
「次のイベントまでに少しでも練習しておきたい」
「新しい趣味をこのタイミングで始めたい」
と感じたなら、その気持ちが冷めないうちに、気になった1台の詳細をチェックしてみてください。