Vestax R-3(MODEL2218)
-第4章- R-3(MODEL2218)の語り。
R-3(MODEL2218)
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(第3章の続きから)そのR-2を経て・・・
R-3です。
Rシリーズの頂点ですか?これは?登りつめちゃいました?
3まで登り詰めてしまいました。
実際に映画のスターウォーズとかでもそうですが、2が出るってことは1が絶対おもしろい。
3が出るってことは2が絶対おもしろいわけですよね。さすがです。
(笑) ありがとうございます。
じゃあついにR-3のことについてちょっとお聞かせいただきたいのですが。
R-1、R-2と経て、クラブやプロDJの方々から色々な要望いただきました。手前のパネルでEQの音質調整を出来る様に、 またミキサーの上部を3バンドのIsolatorにししたいというような要望を多数頂きまして、R-3の設計をスタートしました。
このR-3を作っていく設計過程で当時いろいろな面で協力していただいたサトシト・ミイエさん、木村コウさんと専用モデルを作ろうという企画も持ち上がり、 VESTAXスタンダード仕様の”R-3”、と彼らの専用機”2218”を開発しました。
R-3(MODEL2218) PIC1
おおおでは「2218」は、いわばシャーで言ったら赤いザクっていうことですか(笑)。
スペシャル仕様ですね。
かっこいいですね。(涙)
VESTAX仕様のR-3は前作のR-1、R-2のアイデンティティを継承してベーシックな仕様でまとめたモデルです。この2218はサトシ・トミイエさん、 木村コウさんの要望やこだわりの部分が前面に出ている製品です。例えばロータリーボリュームに付いてるノブは、スイスのライテル社のノブを使っています。
このノブはボリュームを回したときに中心軸がほぼ偏心をしないんです。
R-3(MODEL2218) PIC2
要するにツマミっていうのは回すと若干目に見えるか見えないかのレベルで中心がずれたりとかってこともあるんですね。しかし、こいつは、ぶれない。私も見習います。
(笑) 私も見習います。
すいません。止めちゃいました。どうしても言いたくて。
(一同笑い)
また、前面パネルにあるVUメーターですが、今ではVUメーターの需要が少なくて良いVUメーターを揃えることが難しかったんです。
あの、VUって言うと今の若い人は、ほぼわからないような気がするんですよ。針みたいなものがリアルタイムで動くんですよね。
このミキサーのデザインで言ったら右上に2つ付いていると思うんですけど、それのことですね。
そうですね。そこで高性能の電気測定器で使われているVUメーターを音響機器用としてカスタムして搭載させました。 また、回路設計面でもお二人の巨匠と共に音質の細部まで調整させて頂き、使用するパーツの選定や実際の音質チェックを繰り返しました。
電気部品では、コンデンサーはシルミックというパーツを電源に使用したり、ELNAのハイファイ音質用のものを適所にMIXして使用したりしています。
R-3(MODEL2218) PIC3
DJ用というか、もうホントにプロ用の測定機。こだわっていますね。
いろんなブランドのパーツをMIXして搭載しているのですね。
「このカレーうまい!」っていうカレーがあるじゃないですか、そういうカレーに限って実はカレーのルーがバーモントカレーとククレカレーを合わしたりしてる、そんな感じです(笑)?
そうですね(笑)。コンデンサーパーツ、一つをとっても2種類を組み合わせたり、場所を選んだりと、いろいろな試行錯誤で全体のバランスを取るのです。 音質面、SN面、電気性能面。
大体ここのコンデンサーをこれに換えたらこういう音になるっていうのは、想像がついたりするんですか?
はい。音質の傾向はあります。このコンデンサーを電源に使った場合は、どういう音になるとか。
やっぱりそれっていうのは、今までずっとベスタクスがミキサーを開発する過程で積み上げられてきたデータだったり財産だったりするわけですよね。
で、私が今回この企画をさせていただくにあたって一番読者の皆さんにお伝えしたいことが、まさにそういう財産を背負ったDJミキサーの素晴らしさだったりするのです。
このコンデンサーを使ったらこういう音になりますとか、そういう感覚ってもう数値化できないじゃないですか?もちろんそういう感覚ってデジタル化もできないわけであって。
例えば、今みたいにソーシャルメディアだとかクラウドとかを使ってその感覚を共有することもできないんですよね。 そういう情報こそが真の価値のあるものなんじゃないのかなっていう風に思っていまして。
例えば、今のミキサーのデジタルチップなんかっていうのは、それが悪いと言う気はないんですけど、複製とか簡単にできたりしますよね。 ひるがえって、今話をしているようなDJミキサーの作り方をしていると、逆に簡単には再現できません。 アナログパーツを1個1個、換えてはトライしてっていう、そこの積み上げたデータはすばらしい財産だと思うし、 それを保有されているベスタクスっていうブランドは、ホントに世界を代表するDJミキサーブランドなのだな、と思うのです。
ありがとうございます。アナログの部品や設計とデジタルの部品や設計を比べると、一長一短なのですが。
デジタルにはデジタルでしかできない良さがたくさんありますし、逆にアナログの場合はできることの種類は少ないのですが、その分、奥が深い感じもします。
アナログの場合、その部品1つの使い方によって良くもなり悪くもなり、その設計リスクもあるので、とても注意して設計をしないといけないのです。
なるほどですね。例えばVUメーターなんてすごくわかりやすいと思うのですけど、実際に音が上がったら針が右に振れるわけですよね。 このR-3ミキサーで言ったら、音が鳴ったら針が右に振れるのだけれども、音の上がり方も、とてもまろやかに、緩やかに感じますよね。
でも、今のデジタル化されたLEDのボリュームとかだとその緩やかさみたいなのが少なく、段階で表示。でもVUメーターは無段階なわけで。 アナログの良い所とか得意な所ってVUメーター1つとってみても、すごく感じられますね。
そうですね。アナログは人に感覚的に直感的に理解しやすいと言いますか、そういう良さは多いと思います。
あと言えることは、そういうテクニカルな面だけでもなくて、実際にVUメーターとかって見ながらDJをするっていう行為は単純にアガりますね。
アガりますよね(笑)
全部VUメーターにすればいいじゃないか!って思うぐらい。
(一同笑い)
そういう部分も備えつつ、中身もこだわりつつ、という感じですよね。わかりました。ありがとうございます。
-第5章- PMC-500の語り。に続く...
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